学校だより5月号

 

 

                 にしはら                                            渋谷区立西原小学

                                                                               平成20年 5月1   5月     

  

         

思いやりの心を育む

                                                                校   安達 和恵 

新緑が目に眩しいさわやかな季節を迎えました。新学期がスタートしてから早1ヶ月。子どもたちは、新しい学年にすっかり慣れ、元気いっぱいに学校生活を送っています。

83名の1年生も6年生のお兄さんお姉さんをはじめとするたくさんの上級生にやさしく包まれ、やる気満々、楽しそうに過ごしています。学校は、子どもたちにとって、「学ぶ喜び」「ふれ合う喜び」を体いっぱいに感じながら、夢や希望を育んでいける場所でなければなりません。西原小学校に通う全ての子どもたちが、学ぶ意欲をもって毎日生き生きと登校し、明日を待ちながら満足して下校する、そんな学校生活をつくってあげたいと思っています。子どもたちにとって、「毎日通うことが楽しい学校」「昨日の自分よりも今日の自分が一歩成長したと思える学校」を教職員一丸となって築いていきたいと考えています。

 さて、本校の教育重点目標の、「思いやりのある子ども」に触れて考えてみたいと思います。人への思いやりは。相手の気持ちを推しはかることのできる豊かな感受性、相手の気持ちに配慮してあげられる繊細な心遣いが備わって初めてできることだと思います。思いやりの心が生まれる土壌に、豊かな感性があります。感性には、美しさを感じる心、創造する心、表現しようとする心などいろいろありますが、相手を思いやることのできる心も優れた感性の一つです。この思いやりの心は、私たち大人がモデルになって、子どもに身につけさせていかなければなりません。特に、家庭における親の在り方がとても大切になってきます。親が思いやりのある言動をとるのを子どもが見て、それをモデルとして感性が磨かれ、いつの間にか子どもの中に思いやりの心が芽生えていきます。家庭での会話の中で、人に対する批評が出てくることがあります。その時に、相手を思いやる発言が多い場合と、悪口ばかりを言っている場合とでは、子どもの心の育ち方は違ってきます。ある母親が、テレビの悲しいニュースを見て涙をうかべているのを見た子どもが、母親に、なぜ悲しいのか聞いたそうです。その時、母親なやさしい口調で、悲しい目にあっている人たちの気持ちを考えると涙が出てくるのだと説明したそうです。そうしたら、その子の表情も悲しそうになったとのことです。   

 朝焼小焼だ 大漁(たいりょう)

 大羽(おおば)(いわし) 大漁だ。 

 浜は祭りの ようだけど 海の中では 何万の (いわし)のとむらい

 するだろう。

さて、相手の側に心を馳せるといえば、童謡詩人、金子みすゞ[1903〜1930]の「大漁」という詩が思いうかびます。大漁を喜ぶ人々の、お祭りのようににぎわう浜辺をながめながら、そのうらにかくされている海の魚たちの悲しみを見つめたやさしい詩人の心を、この詩の中に見い出すことができます。

 みすゞが育った家庭は、両親と兄、弟、おばさんとみすゞの六人家族でした。しかし、みすゞが二歳のとき、お父さんがなくなり、金子家は小さな本屋を始めたそうです。お母さんはとても働き者で、そのうえ優しい人だったそうです。店はいつも子どもたちの笑い声でいっぱいでした。子どもたちが立ち読みをしても、お母さんは怒らず、むしろ本を読む子はえらいね、とほめたそうです。このようなお母さんに育てられたからこそ、みすゞは、人を思いやるやさしい心、豊かな感性が磨かれていったのでしょう。

今日の社会を見る時、人と人とのつながりが希薄になり、人々は、自分の生きることのみに気を奪われ、人のことまで考えや気持ちが及ばないといった、淋しい世の中になりつつあります。このような現代であるからこそ、生きとし生けるものに対する優しさ、温かさを忘れてはならないと思います。私たち大人が自らの感性を磨きつつ、心豊かな子どもを育てていく大切さを強く感じます。

 

                                    

     

 
 
 
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