フィレンツェの2日目は、いよいよ念願のウフィツィ美術館訪問です。前日に予約したところ入場時刻は9時40分となっていたので、まずホテルでゆっくりと朝食をとりました。その後、ドゥオモとその周辺を小一時間ほど見てから、アルノ川に面したウフィツィ美術館に向かいました。ドゥオモについては、別のページでご報告します。
この美術館には、広大な長方形の中庭があります。その中庭の両側には、美術書などで名前を見る著名な画家、彫刻家などの彫像がずらりと並んでいます。
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それらの彫像の中に、レオナルド・ダ・ヴィンチの彫像がありました。トレードマークの長いひげを生やして、すっくと立っていました。
美術館の入口近くにかなり行列ができているのが見えましたが、私どもはそこより少し広場のほうに寄ったところにある予約者入口から待つことなく入場しました。
後で聞いた話では、美術館外で3時間,館内で30分待たされた人もあるとのことです。前日の夕方に予約しておいたのは大正解だったようです。 |
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入場したら、そこから先は長年美術館めぐりをして身につけた生活の知恵?に従います。すなわち、入場者がだれでもぜひ見たいと思っている作品のある部屋にわき目もふらず直行するのです。少し遅れると、その作品の前は黒山の人だかりとなり、じっくりと鑑賞するのが難しくなります。 パリのルーブル美術館では、一にモナリザのある部屋、二にモネの睡蓮のある部屋に直行することです。このウフィツィ美術館では、まずはボッティチェリの作品がたくさん置かれてある部屋に飛んでゆくのが正解です。
しかしその部屋に行く途中、よく知っているこの名画に出合って動けなくなりました。気品のある名画として有名なリッピの聖母子像です。 |
ボッティチェリは一時このリッピの工房で修行したとのことですが、そのせいかこの2人の天才の画風にはどこか共通点があると感じます。 なお、この美術館では写真撮影は禁止されています。といって、このページにこれら名作の写真がまったくないのでは話になりません。そこでやむを得ず、美術館の出口で販売していた絵葉書の画面をスキャナーで読み取って小さい画面サイズで掲載しました。なにとぞご了承ください。
上の写真をクリックすると、大きなサイズで見ることができます。この画像は、 CGFA というインターネット上の美術館のご好意により使用させていただいています。 |
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ボッティチェリの部屋に入ると、目の前にテレビの美術番組や美術の教科書でこれまで数え切れないほど見てきた 《貝殻のヴィーナス》 がありました。
上の写真をクリックすると、大きなサイズで見ることができます。この画像は、 CGFA というインターネット上の美術館のご好意により使用させていただいています。 |
一見して、まずその繊細で明るい画調にうたれます。この時代にこのようなトーンの絵画は他にはないと思います。ボッティチェリの独創性に感嘆するほかありません。
相当な大作ですが、その隅々にいたるまで入念に仕上げられているのがわかりました。といって、写実的な画風というわけではありません。ボッティチェリの作品の特徴は、均衡のとれた気品のある構成の中に、新鮮な装飾性、デザイン性を盛り込んだ点にあると思います。独特の華麗でつややかな画風は、それによるところが大きいのです。 |
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それは、同じ部屋にあるボッティチェリのもうひとつの名作 《春(プリマヴェーラ)》 にもはっきりと見られます。
この作品では、暗い背景の前に配置された明るい人物群像がリズミックな動きをしている一瞬をとらえたように感じられます。大変「音楽的」な絵画といってよいかと思います。 |
作者ボッティチェリの意図は、写実とはまったく異なるところ、すなわち装飾性にあるのです。鮮やかな色彩を効果的に使用して、極めて華麗な画面を構成しています。ルネッサンスの絵画史にも、このようなタイプの作品は他に例がありません。
上の写真も絵葉書からスキャニングしたものですが、クリックすると大きなサイズで見ることができます。この画像は、 CGFA のご好意により使用させていただいています。 |
とうとう私は、今回の旅行の最大の目的である作品の前にきました。上記ボッティチェリの部屋の隣にあるダ・ヴィンチの部屋の壁に、名作 《受胎告知》 は静かに置かれてありました。想像していたより一回り小さく、かなり横長の画面でした。
上記ボッティチェリの作品ほどポピュラーではない上に、画面のサイズもそれほど大きくないので、皆さんが黒山のように集まるわけではありません。かなり詳しい美術ファンが熱心に鑑賞しているだけです。私どもにとっては大変有難いことでした。
テレビの美術番組などで熟知している作品ですが、本物を目のあたりにすると、この作品が底が知れないほどの奥行きを持っているのがはっきりとわかりました。 |

この作品の最大のポイントは、聖母マリアの表情とその姿勢にあると思います。「受胎告知」は、カトリック美術の世界ではポピュラーな画題の一つですので、これまで多数の画家がこのテーマで制作しています。大多数の「受胎告知」では、マリアは自分の身に起こったことの重大さに驚愕し、恐れおののくという表情で描かれています。
しかし、このダ・ヴィンチの 《受胎告知》 では、マリアはもちろん驚愕しつつも、節度と威厳のある表情で大天使ガブリエルが告知するのを見つめています。なんという崇高な画面でしょうか。
上記ボッティチェリの作品が「音楽的」といえるとすれば、このダ・ヴィンチの 《受胎告知》 はまさに内面的、「文学的」というべきでしょう。このような内面的な絵画は、ダ・ヴィンチ以外では、後世のレンブラントがあるのみかと思います。
次から次に現れる名作の数々を一通り鑑賞してから、一度美術館の廊下に出て一休みしました。 |
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その廊下の壁にもそして天井にも、素晴らしい作品が展示されています。この美術館を本格的に鑑賞するには数日を必要とするでしょう。
美術館はアルノ川に面しており、廊下からアルノ川にかかるヴェッキオ橋が望めました。写真右側の赤い屋根の部分が美術館からヴェッキオ橋まで伸びており、ヴェッキオ橋の2階に設けられた通路「バザーリの回廊」につながっているとのことです。その回廊は予約すれば通れると聞きました。 |
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この廊下から、アルノ川のボート乗場が真下に見えます。ボートが盛んに川の流れに漕ぎ出したり、ボート乗場に帰ってきたりしています。アルノ川の水は、上から見ると青く澄んでいるように思われました。
廊下で一休みしてから、またボッティチェリやダ・ヴィンチに会いに美術館の部屋に戻ります。美術館の内部は次第に混雑してきました。美術館見学の鉄則は、朝一番に飛び込むこと、そしてもし入場予約が可能ならぜひ前日に予約をすることです。 |