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イタリア旅行(10) ラ・ボエーム |
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今回の旅行は当初ウィーンに行く予定でしたが、ウィーン国立歌劇場での演目の関係でそれをあきらめ、イタリア旅行に変更しました。
半世紀にわたる音楽ファンである私は、イタリアでもオペラが観られないか少し調べたのですが、多忙にまぎれて様子がよくわからないまま予約もせずに出発してしまいました。 |
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ローマの2日目に、宿泊したホテルのフロントの横に、さまざまなコンサートのパンフレットがたくさん積んであるのが見つけました。
一つ手にとって見ると、《ラ・ボエーム》、本日の夜8時からと書いてありました。といってもイタリア語のパンフレットで、私が大きな字の部分を拾い読みして見当をつけただけです。ホテルの主人に確認して、少し様子がわかりました。
左の画面のトップに赤い字で書いてある"CHIESA"というのは、英語では"CHURCH"、すなわち教会のことだそうです。ホテルの近く、歩いていけるところにある土地の教会を借りて、ミニオペラコンサートを開催するということでした。
入場料はと見ると、20ユーロとありました。邦貨で2600円くらい、これは安い!と思いましたが、待てよ、いったいどのくらいのレベルのコンサートなのかというのが気になりました。 |
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出演者の名前も小さい字で書いてありましたが、なにしろイタリアのオペラ界のことにはうとく見当もつきません。また、オペラというからにはオーケストラ、指揮者が必要ですが、それに関する情報がまったく記載されていません。 |
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若干の不安はありましたが、名作 《ラ・ボエーム》 の魅力と入場料の安さには抗しがたく(^_^)、夫婦で行くことにしました。予約は、ホテルの主人に電話でしてもらいました。
《ラ・ボエーム》 は、イタリアの大作曲家プッチーニが1896年に発表したオペラで、花の都パリの裏町に住む若い芸術家たちの哀しい恋の物語です。
イタリアオペラというと、大げさなストーリーでソリストがこれでもかと名人芸を披露する、というイメージがあるかも知れませんが、このオペラは落ち着いたストーリー構成の中に瑞々しい叙情的な歌唱があふれる秀作です。 |
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これまでに何度も映画化されていますので、映画でご覧になった方も多いことでしょう。 |
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コンサート会場の教会は、ホテルから南に歩いて15分ほどのベネティア広場のすぐそばにありました。広い通りに面した普通の小さい教会です。予約をしていない人が次々に来て、入口で切符を買っています。
教会ではミサや説教をするので、小規模の演奏会を行うのに適した構造になっている例が多いのです。 また教会は概して天井が高いので、適当な残響時間が得られ、音響効果の点でも優れています。後に行ったフィレンツエでも、教会でさまざまな演奏会をしていました。 |
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特に音響効果のよい教会では、よくレコードの収録を行っているようです。 |
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内部に入ると、淡い照明の下、前方の説教壇の近くに簡単な舞台装置が置かれているのが見えました。
その横で、器楽の皆さんが音あわせをしていました。構成は基本的に弦楽四重奏(クァルテット)で、第一バイオリン、第二バイオリン、ビオラ、チェロからなっています。それにハープが一人加わり、さらに教会に常設されているオルガンが加わっていました。
オーケストラの代わりにクァルテットを使うのは、大変いいアイデアだと思います。こういう演奏会に参加してくれるクァルテットは、すぐに見つかるでしょう。 |
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また、日ごろアンサンブルをしているのですから、少し練習すればオペラの伴奏は十分こなせるでしょう。 |
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やがて歌手たちが入場し、歌劇 《ラ・ボエーム》 の第一幕が始まりました。クリスマス・イヴの日、主人公の詩人ロドルフォ、その友達で同じ部屋に住む画家マルチェッロのところに、ちょっとした収入を得た音楽家ショナールが食べ物やお酒を持って現れます。
にぎやかな合唱となりましたが、歌手たちの声量、声の輝きは相当なもので、このオペラの楽しさを十分味わうことができました。主人公の詩人ロドルフォ役のテノールがやや声量がすくないようでしたが。
と、ドアをノックする音がして、美しいソプラノの歌声が聞こえました。 |
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近くの部屋に住むお針子のミミが、ろうそくの火が消えてしまったので貸して欲しいといってきたのです。 |
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ミミに惹かれたロドルフォは、自分の夢や生活について語ります。それに応えてミミは有名な 《私の名はミミ》 というアリアを歌います。ミミ役のソプラノは、小柄ながら声量、表現力ともに申し分なく、素晴らしいアリアを聞かせてくれました。
歌い終わると、客席からすかさず「ブラボー」の声がかかり、聴衆がオペラをよく知っていて耳も肥えているのがわかりました。
一方伴奏のほうは、クアルテットもハープも音量が小さく力強さを感じさせません。アマチュアのクアルテットだったのでしょうか。 |
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ちゃんとした室内オーケストラがバックにあればすばらしいコンサートになったのにと、少々残念な思いをしました。 |
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第二幕では、先に出かけた3人の友達を追って、ロドルフォとミミもクリスマス・イブのパリの街に出かけます。
そこに甲高いソプラノの笑い声が聞えます。マルチェッロの別れたばかりの恋人ムゼッタが、新しいパトロンとともに現れたのです。ここで、ムゼッタは有名なアリアラ・ボエーム 《私が街を歩くと》 を歌います。
このムゼッタ役のソプラノは、すらりとした長身の美人で歌唱力のほうもまずまずでした。はまり役といってよいでしょう。
フィナーレでは、全員で客席の前に現れ、皆で手をつないで礼をします。 |
聴衆は100人ほどだったと思いますが、こちらも熱い拍手を送ります。今回、このような小さなコンサートでこれだけのオペラが楽しめたことで、歌の国イタリアの実力を改めてかいま見る思いをしました。また、予定もしていなくて「飛びこみ」でこのような素晴らしい歌唱が聴けたのは、本当に幸いであったと思います。
ただ残念だったのは、会場の照明の関係で、デジカメ写真がうまく撮れなかったことです。上の写真も大分補正などをしたのですが、それでもこれ以上よくなりませんでした。なにとぞご了承ください。
コンサートが終わったのは、10時半ごろでした。明日は朝早くトスカーナの古都シェナに向かって発つので、明るい広い道路を選んでホテルに帰りました。 |