21世紀の司法界に告ぐ-司法の近未来



 司法制度は、改革の必要な時期にさしかかっているとされて、時間がかなり経過した。司法制度改革審議会の審議も大詰めを迎えようとしている。しかし、「本当に改革しなければならない問題は何なのか」、「その問題の解決に本当に資する処方箋は・・・」。理想論ではなく本音を語っておかなければ、21世紀の司法界に禍根を残すことになろう。
この鼎談は、まさに、日本の司法制度の問題点を本音のレベルで論じることにより、司法制度の改革に微力ながら寄与できればと企画された。公法、私法、刑事法の領域で、実務をある程度理解した上で、大学においても研究する三人が集まって、忌憚のない議論をしたものを一書に纏めたものである。研究室から批判的に眺めているだけでは、日本の司法制度の問題点の微妙な部分は見えてこない。しかし、単に実務を知るというだけでは、司法制度の問題を客観化しにくい。三人は、実務世界と学界のいずれにどの程度「重心」が存在するかという点では、かなり異なる。ただ、それがかえって、議論を深めるのに役立ったとも言えよう。いわゆる「仲間内の議論」は成り立たない。
 いずれにせよ、司法制度改革は「まった無し」である。そして綺麗事の理想論で現実を動かそうとすることの危険性を最もよく知っているのが、法曹のはずなのである。本書中には、かなり挑発的な発言もみられるが、それをきっかけに、司法に関する議論が少しでも広がるとすれば、著者一同にとって望外の幸甚である。

       9/15                        著者一同

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